大和に泊まろう

見ると恥ずかしい気持ちになると思います。

2021-01-01から1年間の記事一覧

紅い彼と蒼い私(34)

ふわふわと浮いたような感覚とともに,腹部にものすごい痛みを感じた. この痛みは先ほど刺されたときとは違う新たな痛みだ. なぜこのような痛みを感じているのか見当もつかない. 周りは時が遡ったような動きをしている. いったいどこまで戻るのか,どの…

紅い彼と蒼い私(33)

地下牢へ向かおうとするとなぜかそこに宰相がいた. 何をしているのかそっと後ろに近づくと爆破魔法を仕掛けている様子だった. 私は不思議に思い,声をかけた. 私が玉座にいると思っていた宰相は驚いた顔でこちらを凝視してきた. 宰相はその場を後にし玉…

紅い彼と蒼い私(32)

初老の男への殺意はほとんど消えていた. 元に戻るためにどうすればよいのかを考えていたからだ. 俺は魔人の記憶,および自分の記憶をしらみつぶしに調べた. その時,面白い魔法に関する記憶を見つけた. 時間に関する魔法だ. 試しに俺はその魔法を使用し…

紅い彼と蒼い私(31)

素振りを行った後,何が起こっているかはわからなかったがとりあえず城へ向かうことにした. 道中,商人からリンゴをもらい門へたどり着いた. 兵士に連れられ玉座の間に向かおうとしたが一つの疑問を覚えた. つかまっている魔人は今どうなっているのか. …

紅い彼と蒼い私(30)

初老の男は静かに口を開いた. 「まだ例の能力は発言していないようだな.」 彼の言っていることは理解できなかった. 能力とは何のことか.気になって仕方なかったが続けざまに彼は話した. 「お前は魔人に乗っ取られている状態だ.身体のどこかしら変化し…

紅い彼と蒼い私(29)

私はおなかに手を当てた. 腹部に痛みはない. 感じたあの痛み,あれは確かに現実であったはずだ. 私は馬車に乗って移送されていたはずなのになぜ枕が濡れているのか. 日付を確認すると,今朝になっている. どうやら,今朝に戻ってしまったらしい. 理由…

【悩み】私生活とかいろいろ...

皆さん,お久しぶりです.手越です. 今日は少し暗めの内容になってしまうかもしれません. 私の悩みに関して書き記していきたいと思います. ・ゲームができなくなった. 最近,ゲームを楽しいと思えなくなっています.昔はゲームを一日中やっても全然苦で…

紅い彼と蒼い私(28)

宰相はなぜこいつが生きているといわんばかりの顔をしていた. 気が付くと俺は本能のままに宰相を手にかけていた. 王は玉座から一歩も動じない.また初老の男も不敵な笑みを浮かべているだけである. 記憶を見た限り宰相は魔人を殺そうとしていたようだ. …

紅い彼と蒼い私(27)

手を伸ばせば届くのに彼の手をつかむことが叶わない. 最近いつも見るあの夢だ. 連れていかれている最中にも目をつむれば見るなんて重症なのかもしれない. そう思っていた矢先,運送途中の馬車から悲鳴が起きると同時に腹部に痛みを感じた. 瞼をそっと開…

紅い彼と蒼い私(26)

男の匂いを追うと城に戻ってきてしまった. 屋上に移り内部の様子をうかがっていた. 中では女騎士が連れ去られていく様子があった. 玉座近くには眼鏡をかけた宰相と王様,俺を刺した初老の男がいた. 男から色々聞き出そうと玉座に突撃した. 宰相は大変驚…

紅い彼と蒼い私(25)

私は島へ搬送されている間,この国の異変を考えていた. 魔物が出没するようになってから都合よく魔人が現れるだろうか. そして地下牢に閉じ込めていた魔人の調査を依頼し,直後に脱獄される. さらに翼が生えた魔人と思わしき人型の正体. 考えれば考える…

紅い彼と蒼い私(24)

死んでしまうのか,意識がもうろうとする中,頭の中に聞き覚えのある声が響く. 俺は気が付くと胸を貫いた剣を抜き,体に対して治癒魔法をかけていた. 昔,学校で治癒魔法に関する勉強はしたが,この術式は現在使われているものよりはるかに高性能なもので…

いよいよ何なのこのブログ

こちらからは以上です。

紅い彼と蒼い私(23)

王のもとへ戻ると目つきの悪い宰相が激怒していた. 魔人を逃がしてしまったことに関してである. 王様に宰相は耳打ちをして,王様は次のように述べた. 「そなたを南西の牢獄島に投獄する.」 私の叫びは受け入れられなかった. 兵士にとらえられながら玉座…

紅い彼と蒼い私(22)

声をかけてきたのは初老の男だ.その顔には見覚えがあった. 僕に牢屋のカギを渡してきた人である. なぜここがわかったのか不思議で仕方なかったが彼はそっと口を開いた. 「魔人と契りを交わしたのか.」 次の瞬間,僕の胸にひやりとした感覚が襲った. 状…

紅い彼と蒼い私(21)

飛び去った彼を追いかけた. しかし人が走って追いつけるほどのスピードではなかった. 私は王様のもとへ向かうことにした. 城へ戻る道中,何もかも吸い込みそうなほどの黒い羽根を私は見つけた. 何かの手掛かりになるかもしれないと考え私はその羽根を持…

紅い彼と蒼い私(20)

ようやく体が落ち着いてきた. 外に飛び出てから半刻ほどたった. 住んでいた家からは大分離れた場所と考えていたがどうやら見知らぬ土地のようだ. 心に語り掛けてみた. やはり魔人の声は聞こえない. この先どうなるのかを考えてみたが何も思いつかない.…

紅い彼と蒼い私(19)

紅い瞳の彼の顔はよく覚えている. さっきすれ違ったときにも会ったし,私の夢の中に出てくる青年だ. しかし,前は黒い瞳だったし,そもそもなぜ翼なんて生えているのだろうか. 玉座に向かおうとしたが私の興味は彼に向かっていた. 無我夢中で彼の後を追…

紅い彼と蒼い私(18)

体の奥底から力を感じる.魔力が何倍にも倍増された感じがする. しかし,身体に変化が起きた.背中に何か違和感を感じる. どうやら翼が生えてきたようだ. また,頭の中に自分の知らない魔法や記憶が流れ込んでくる. これは魔人の記憶だろうか. 僕は身体…

紅い彼と蒼い私(17)

焦げた匂いに交ざって腐敗したような臭いが地下牢に漂っている. 入り口には魔封じの札が立てかけられているはずだがばらばらになって入り口付近に焼き焦げて残っていた.. どうやら札を壊した奴がいたらしい. 私は地下牢を去り,再び玉座に向かった. 突…

紅い彼と蒼い私(16)

魔人に魂を渡す.即ち契約を交わし魔人の力を一部もらい受ける. つまり半魔人になるということである.僕は迷ってしまった. 魔法学校で学んだことがある.魂を渡したものは呪われてしまうと. しかし,魔人を助けろという言葉が脳内に響き渡り僕は契約を結…

紅い彼と蒼い私(15)

玉座を後にし,門の近くまで来た時に異変が起きた. 地下の方で爆発魔法を用いたような音が聞こえたのだ. 慌てふためく兵士とともに私は地下牢へ向かう. 道中,この国には珍しい黒い瞳の青年を見かけたような気がするが今はそれどころではない. 地下牢に…

紅い彼と蒼い私(14)

僕は目を疑った. 兵士たちが探している魔人が跪いていることに. そして,彼は僕にもう長くないことを伝えてきた. どうやら魔力がほとんど残っていないらしい. 目の前に困っている人がいるときは助けてあげろ. 昔,祖母に言われた言葉である. 僕は彼に…

紅い彼と蒼い私(13)

玉座の前で私は王の言葉に耳を傾けた. 王がいうには単独で北雪原に現れた魔人の調査をしてほしいそうだ. しかし,私は違和感を感じた. なぜなら,魔物類の調査は王直近の学者が行っており一人では行わないからだ. どうやら王様は本気で私の一族を見捨て…

紅い彼と蒼い私(12)

魔人の身長は僕の二倍近くあるだろうか? まがまがしい角に褐色の肌,赤い目がよく似合っている. 感心している場合ではない. 早くこの場から逃げなければ. しかし,魔人の力によるものか金縛りにあったように動けない. ここで死ぬのか,その刹那,僕に魔…

紅い彼と蒼い私(11)

私は王の部屋で扉が開かれるのを待っていた. 兵士は何やら落ち着いていない様子である. どうやら北雪原から突如として現れた魔人を牢獄へ閉じ込めたらしい. その様子を観察しているうちに扉が開いた. 玉座には白いひげを生やした王がこちらを見ている. …

紅い彼と蒼い私(10)

牢の外に出てみると何やら外が騒がしい. 僕は兵士の話を箱の中に隠れながら聞き耳を立てていた. どうやら場内に閉じ込められていた魔人が脱獄を図ったようだ. 警備が手薄だった理由を理解し,その場を立ち去ろうとした. しかし,運命というのは時に残酷…

紅い彼と蒼い私(9)

祖国は昔,他国とも友好な関係を築いていたようだ. しかしながら先代の時代から,他の領地を奪うことで国政を盛んにしている. 私のご先祖は代々この土地を守る名家であった. しかし,名家の出である私たちが迫害を受け始めたのは最近になってからだ. 王…

紅い彼と蒼い私(8)

青年は初老の男に何かを話していたようだった. うまく聞き取れなかったが何か怒っている様子であった. 初老の男は牢獄から出してもらったようだ. 男は僕の目の前でよろけた...ように見えた. 青年に悟られぬようこちらに鍵をよこした. 何者なのか謎は深…

紅い彼と蒼い私(7)

東の青々とした広い丘から運ばれてくる穏やかな風が城の旗を大きく揺らす. 何人たりとも通さないと感じさせる鉄壁の白い壁. 城の周りには水が張られており馬を使って攻め込むことは困難だろう. 門兵に挨拶をし,王に謁見する旨を伝えた. 玉座に続く通路…